太平清領書

太平道の経典

 黄巾の乱を起こした太平道ですが、その太平道が経典としたものがこの太平清領書です。三国志演義では南華老仙によって与えられた太平要術となっていますが、正史では太平清領書となっています。

 于吉が授かったとされる書ですが、年齢のつじつまが合わないので、太平清領書を書いた于吉と、孫策伯符に殺された于吉は別人と考える方が良いかと思います。

 全部で10部に分かれており、それぞれ17巻に分かれており、前170巻との事です。えらい多いなw 当然古いものですから色々と失われており、太平經へと受け継がれてはいるものの正確な内容が伝わっているかどうかは怪しいようで。

基本的な考え方

 太平清領書に記されている基本的な考え方は以下の通りです。

  • 天地を奉り、五行の順に従う
  • 人生で良いことに出会うか、悪いことに出会うかは、本人次第
  • 善行を積めば寿命が延びる

 で、これに修行の方法などがあり、神的結合(いわゆる房中術)、胎息(呼吸法)、食氣(同じく呼吸法。仙人は霞を食うって言いますやん)、などが有るようです。

 修行により精神を鍛える事は、生命の維持につながり、さらには仙人への道であると信じられていました。

 天と呼ばれる存在を最高の神様として、その下々に色々な存在が有るって言う考えがあるようですが、まぁ、これは多分昔からある中国の考え方だと思います。日本にも同様の概念として伝わり、「天皇」であったり「天下」であったり、あるいは「天井」といった庶民的な言葉が産まれています。

 おてんと様っていう日本語がありますが、漢字にすると「お天道様」でして、見ての通り天と道が合わさっています。要はこれも道の概念が語源です。で、お天道様のもとには皆平等っていう考えが強くあるようで、これは貧しい人には良く響く言葉でもありました。

 因果応報の考えが強くあり、善い行いも悪い行いも前後5代まで影響を与えるとし、祖先が悪いことを沢山していた場合、自分の代で大きな善行を行う事で帳消しにできると、そのような考え方だったようです。

広がり

 色々小難しいことがずらずら並びましたが、この辺りは広めるためのタテマエのようなものだと考えればよいかと思います。結局のところ、張角が行っていた事はプラシーボ効果による治療で、その治療が上手くいかない言い訳の為に、善行と悪行を持ち出しているにすぎません。

 また、平等を前面に出す事で、貧しい人はそれを支持しやすくなります。それに加え病気が治ったとなれば、この教義を妄信するようになるのもうなずける話かと思います。本当は自分の力で治ったんですけどねw

  • 最終更新:2016-11-02 11:53:16

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